虫かごという宝物
子どもたちは、大切そうに持ってきた虫かごを見せてくれます。
中身はそれぞれ十人十色。一つ一つがオリジナルで、まるで宝物です。
あいらちゃんは、隙間ないくらい一杯にセミの抜け殻が詰め込まれた虫かごを、毎年夏の時期になると、持ってきてくれます。
そうしろうくんは、内側に虫のシールが貼ってある虫かごを。
中の虫さんがシールを見ることが出来るようにと内側に貼ったんだそうです。
虫目線で物事を考えた優しい思いやりを感じます。
そして、強い虫への愛情からか、幾つかの輪ゴムでしっかりと虫かごのフタを固定して、どこへ行くにも大切そうに抱えて持ち歩いていました。
はるとくんは、透明でグミのような形をした珍しい幼虫を連れてきてくれました。
登園した時は幼虫の姿でしたが、帰りのお外遊びの頃にはサナギへと大変身していて、みんなでびっくり。
サナギの種類が知りたいはるとくんと、一緒で図鑑で調べてみると、アオスジアゲハのサナギでした。大切にしている生き物への愛情が興味へと繋がり、もっと知りたい!という知的好奇心が膨らんでいる様子でした。
やひろくんの虫かごは、カマキリのお母さんと卵が入っています。
カマキリの子どもが産まれてくることが楽しみで、「早く会いたいね、楽しみだね」と嬉しそうにお話してくれました。
あかりちゃんの虫かごには、たくさんのドングリや松ぼっくり、木の実が入っています。
「本当はね、金木犀のお花も入れてたんだよ。枯れたから出したんだけど。」
おうちのお庭に植えてある金木犀の匂いが大好きなんだそうです。
あおくんの虫かごには、大きな黒いチョウが入っています。
何日も前から幼稚園に持ってきてく連れてきていた大きな幼虫が、サナギになり、チョウになりました。幼稚園でおなじみのアゲハ蝶とは違う黒色のアゲハ蝶で、調べてみるとナガサキアゲハという種類の珍しいアゲハでした。
「アゲハは飼いたいから絶対に逃がさない」と言っていましたが、園庭で大きなキリギリスを捕まえると、「キリギリスを飼うから、アゲハは逃がす!」と、お空へ逃がしてあげていました。
あおくんの新たな興味は、捕まえたキリギリスに移り変わったようです。
うきょうくんの虫かごには、ピンク色の大きな幼虫が入っています。
虫かごに「がのなかま めんがたすずめ」と大きくクレヨンで書いた画用紙を貼り付けて、見せに来てくれました。
幼稚園にもたくさんの虫かごが準備してあり、お外遊びの時にはみんなで交代で使っています。
お気に入りを手にもって、「いってきま~す!」と園庭探検に出掛けていく子ども達の姿をとても微笑ましく感じます。
それぞれの虫かごは、子どもたちの宝物です。
色んなエピソードや想いが詰まっています。子どもたちの声に耳を傾けると、熱い想いを言葉にして一生懸命説明してくれます。そんな子どもたちとの時間が大好きです。