わかばのかぜ~園長からのおたより~

幼虫物語

2022.02.09

夏の終わりに産み落とされたカブト虫の卵は、子どもたちが見守る中、すくすくと成長し、今では立派な幼虫となりました。
幼虫は、寒い冬の間、ご飯を食べず、土の中でじっと眠っていますが、子どもたちは土の中にいる幼虫が気になって仕方がありません。
虫かごの底から覗いたり、土の中をほじくったり、幼虫から「ほっといてよ~」と苦情がありそうですが、子どもたちの興味は膨らむばかり。
「目に見えない土の中で何してるんだろう?」というミステリアスな興味が、子ども心をくすぐるのかもしれません。

  

子どもたちと虫を観察するのが私の日課となっており、いつものように子どもたちと土の中をほじくり、幼虫を手に乗せて遊んでいたところ、通りかかった年中の女の子が、「何なのそれ?」と興味を示します。
「可愛いよ、触ってみる?」と投げかけてみると、「う、うん…やっぱり気持ち悪い…」とその場を離れていきました。
その日以来、女の子は私の顔を見るたびに「カブトムシの幼虫触ってみたい」と声を掛けてくれるようになりました。そのたびに幼虫を触ろうと挑戦するものの、なかなか触る事が出来ません。
毎日挑戦し、幼虫を目の前にすると触る事は出来ないのですが、女の子の幼虫への興味はどんどん高まります。主任先生や主事の先生も総がかりで、何とか幼虫を触れるように女の子と幼虫と私たちも向き合いました。

「幼虫を入れたプリンカップを持つ」
「ティッシュを一枚はさんで幼虫を触る」
「掌にティッシュを敷いて幼虫を乗せる」

少しづつ女の子と幼虫の距離が縮まっていき…
ついに指でチョンと触る事が出来ました。
「触れた!やわらかいんだね」
こぼれた嬉しそうな表情に私たちも大喜びでした。

今では掌に乗せられるまでになり、女の子曰く「幼虫の感触、癒される~!」だそうです。
幼虫を触るという些細なことではありますが、子どもたちにとっては大きな一歩で、自信に繋がる経験なんだな~と感じます。
何かにチャレンジして「出来た!」と思いを抱くと、子どもの表情がパッと明るくなります。
どんなことでもチャレンジしようとする子どもたちの心を応援したいと思います。