いのちが芽吹く4月
『越冬さなぎ』ってご存じですか?
生き物博士の園長先生から、
「夏の終わり頃に生まれた幼虫は、秋の間にさなぎになり、そのまま冬を越して次の春に羽化するんだよ。」
と教わったのは、昨年の秋頃でした。
ぽかぽかと暖かくなった今週、長い冬を乗り越えた2匹のアゲハチョウにやっと出会うことが出来ました。
生き物コーナーの窓ガラスのそばで、パタパタしているのを発見した子どもたち。目をまん丸にして、
「せんせい、ちょうちょ!ちょうちょがいるよ!」
「お空に飛びたいんじゃないかなぁ・・・」
「みんな、たった今、アゲハチョウが生まれたよ!」の放送に、子ども達がわっと集まります。
「さわってみたい」という子もいれば、「ちゃんと飛べるかなぁ」と心配そうに見つめる姿も。
フタをそっと開けてみると・・・ふわりっと飛び立ったアゲハチョウ。
「とんだ、とんだ😲」「バイバ~イ!!」
子ども達の頭すれすれの低いところを、ひらひら飛んでいくアゲハチョウ。「まって~!」と一斉に追いかけて別れを惜しんだみんなでした。
幼稚園の『生き物コーナー』は、こんなふうに命が生まれる感動的な場所でもあり、また、寂しく消えていく場所でもあります。
空に舞い上がったチョウチョを見て、「行ってしまった。さみしいな。」とちょっぴり喪失感を感じる子もいたことでしょう。
動かなくなってしまったイモリの赤ちゃんを見つけて、「どうして死んでしまったの?」と素直に疑問を感じる子も。
また、「ピッピチャン!」と元気に鳴くインコのぴっぴちゃんの周りにはいつも人だかりができていますが、
「今、ピッピチャンって言った!!」「なんで?なんでピッピチャンって鳴くの?」と不思議で不思議で、じ~っと見つめている子もいます。
生き物のありのままの姿を目で見て、心で感じて、命に直接ふれることは、とっても大切なことですね。
園長先生がいつも仰います。
「子ども達の生き物に対する興味や愛情、率直な疑問の一つ一つに、正解をすぐに教えるのではなく、そっと寄り添い一緒に考えていきたい。」
生き物との出会いを通じて、子ども達の「とっても柔らかくて、まっすぐで、小さくても愛情にあふれている優しい心」を、大切に大切に育てていきたいと思います。