園内花祭り
遅くなりましたが、6月27日に行った『園内花祭り』の様子です。
年少組から年長組までの子ども達が、ホールにて、灌仏会(お釈迦様の像に柄杓ですくった甘茶をかける儀式)を行いました。
この日、年少組さんにとっては、初めての花まつり・灌仏会です。
そんな子ども達に、園長先生がお話してくださいました。
「お釈迦様のお誕生日は4月8日です。みんなも、お誕生日あるよね。」
園長先生がそうお話しされるとすぐに反応がありました。
「ハッピーバースデー!」「うん、ハッピーバースデー!!」・・・小さな子ども達は口々に、こう言いました。
この小さな子ども達の何気ない一言に、なぜか心をぎゅっとつかまれた私です。
子ども達がすぐに反応したこの言葉。自分のお誕生日に、「ハッピーバースデー!」とたくさんの人から声をかけてもらいお祝いしてもらった記憶、『自分を大切にしてもらった記憶』が心にしっかりと残っているのを改めて感じたからです。
そんな中、いよいよ始まる、お釈迦様の誕生をお祝いする花祭り・灌仏会。後ほど園長先生が、年長組さんに話されるお話は、仏教の教えを超えて、これから生きていく子ども達にとって、とても大切なことなのです。仏教の言葉でいえば『天上天下唯我独尊』・・・きっとその意味が、みんなの心に伝わることを確信し、子ども達の反応が楽しみになりました。
さて、園長先生のお話は 優しい言葉で続きます。
「お釈迦様のお誕生日はね、ちょっと違うやり方でお祝い方をするんだよ。心の中ではハッピーバースデーって思ってお祝いするんだけど、お釈迦様のお誕生日は『なもあみだぶつ』って言ってお祝いするんだよ。そう、こうやっておててを合わせて「なもあみだぶつ」っていうんだよ。」
すると「ぼく、それやったことあるよ。」「わたしも!」とすぐに反応した言葉が聞こえ、みんなで手を合わせて「なもあみだぶつ」を言ってみました。
そして、甘茶のかけ方を園長先生に教えてもらい、花御堂の周りに集まった子ども達。いよいよ灌仏会が始まります。
「失敗してもいいから、自分でやってみようね。」
ちょっぴり緊張しながらも、真剣な表情で甘茶をかける子ども達。
先生と一緒に手を合わせます。
年中組の子ども達にとっては、今年2回目の花まつり。
手を合わせてじっとお参りする姿に、成長を感じました。
園長先生から「みんなが、目をキラキラさせて一生懸命やっている姿をみることが出来てとってもうれしかったよ。みんなが心を込めてお祝いしてくれたから、お釈迦様はとっても嬉しかったと思います。ありがとうね。」とお話があり、満足そうなお顔が見られました。
年長組の子ども達にとっては、最後の花まつり。
小学校に行ったらお祝いすることは無いでしょう。そして、園長先生から花祭りのお話をきくことも出来なくなります。
しっかりと目を見て、耳を澄まして聴いてほしいな・・・そんな気持ちが伝わったのか、子ども達はどの子も真剣に耳を傾けて、まっさらな気持ちで聴く準備が出来ていましたよ。
これまでに色々な経験をして、お話の意味を理解できる年になった年長組の子ども達に、園長先生からのお話が始まりました。
「お釈迦様は、今から2500年前にお生まれになりました。お釈迦様という方は、すごく立派な方だから、誕生した瞬間に世界中が喜んだんだって。どんな風に喜んだのかというと、世界中のお花が咲き、世界中の動物がお祝いしたんだって。
その時、ドラゴンがお空に9匹も現れたんだって。その9匹のドラゴンが雨を降らせたんだって。さて、どんな雨か知ってる?普通の雨じゃないんだよ。」
すると子ども達からは、すかさず「甘~い雨!」・・・昨年の花まつりのお話を覚えていたんだね。
「そう、甘~い雨を9匹のドラゴンが降らせて、産まれたばかりのその身体をきれいに洗ったんだって。
花まつりでは、世界中のお花が咲いたような花御堂の中にみえるお釈迦様に、その甘~い雨に見立てた「甘茶」をかけてお祝いするんだよ。」うんうん、と頷く子ども達。
「甘~い雨が降った後、とっても不思議なことが起こりました。生まれたばかりのお釈迦様がぱっと立って、7歩すたすたすたっと歩いてね、右手でお空を指さして左手で地面を指さしたんだって。」子ども達や先生たちみんなで、早速このポーズをしてみました。
「このポーズって、どういう意味か分かる?」
「・・・天地!」この時、子ども達の間から確かに聞こえた一言です。幼いながらも、想像力や知識が言葉になって次々にとびだします。
「お空と地面の間には、みんなが住んでいる世界があるね。この世界の中に自分という存在はたった一人なんだよ。これを『天上天下唯我独尊』というんだけど、これがお釈迦様がみんなに教えてくれたとても大切なこと。
みんな一人ひとり、顔も声も違うし、得意なことも好きなことも違うよね。
お釈迦様は『みんなという存在は世界でたった一つの存在だから、周りのお友達と自分を比べるんじゃなくて、自分のことを大好きになって自分に自信を持って、自分の事を大切にしてください。』って教えてくれたんだよ。
花まつりは幼稚園でしかできないことだからこそ、小学校にいっても、みんなが自分の事を大切にできるように、今日の花まつりを心を込めてお祝いしてほしいと思います。」
甘茶をかけると手を合わせ、目をつむって、じっと想っている姿。
また、自分の番が終わっても、お友達が行っているのを静かに見届けようとする姿に、大きな心の成長を感じました。
さてこの日、園庭では、年長組さんが立派な白い象を引いてパレードしました。
そのパレードを、ちゅうりっぷ組や年少組さん達が応援しながら一生懸命に見ていましたよ。
いつか、みんなも大きくなったらパレードしようね!!
さて、お部屋ではみんなで先程お釈迦様にかけた甘茶を味わってみました。
甘茶はユキノシタ科に属するガクアジサイの仲間のアマチャの葉を乾燥・発酵させたもので、これを煎じたお茶を使います。
思ったよりも甘~いお茶を大好きになった子どもたち😊
今年の花まつりが無事に終わりました。
お部屋から、毎日のように金子みすゞさんの歌が聴こえてきます。
『みんなちがって、みんないい~♪』この歌の意味を、子どもたち、少し感じてくれたかな、と思います。
あなたは、あなたのままでいいんだよ。