幼稚園からのお知らせ

アゲちゃん、さようなら(つばき組)

2021.06.06

5月18日、つばき組のたっくんが、おばあちゃんのお庭で見つけたアゲハチョウのサナギをクラスに持ってきてくれました。大きな大きなサナギに、みんなは大喜びです。

朝から帰りまで、毎日サナギの様子を観察しながら、チョウチョに変身するのをいまかいまかと待ち続けていた子ども達。

何日も待って待って・・・園長先生の『ふしぎ発見タイム』で、「サナギが黒っぽくなったらもうすぐチョウチョが生まれるよ」と聞いていた通り、5月26日の朝、ちあみ先生がお部屋に行くと、黒っぽくなったサナギから、とっても立派なアゲハチョウが生まれ出ていたのです。

ちあみ先生はその日、朝の玄関当番でした。子ども達が喜ぶ顔が早く見たくて、玄関の傍らにチョウチョが入った虫かごを置いて、子ども達を待っていました。

「おはよう!」と登園するなり、「うわ~!チョウチョになってる!!」「見たい!見たい!」と子ども達の目がきらきら輝き、みんなが集まってきました。

「最初はしっかり葉につかまっていたけど、しばらく経つと羽をパタパタ動かして、大空へ飛び立つ準備をしていたよ!」とちあみ先生が話すと、子ども達はじーっと、その大きな羽を見つめていましたよ。

嬉しくて、早速、自由画帳に思い思いにスケッチした子ども達。

みんなで、毎日大切に見守りながら、こんなふうに記録してきたんだね。

「バタバタ、バタバタ・・・」

お昼頃、虫かごの中で、チョウチョが羽ばたく音がずっと聞こえていました。「お外へ逃がしてあげた方がいいんじゃない?」と子ども達から声があがりました。

小さな心の中で、「自分もお外遊びが楽しいように、チョウチョにとって広いお空が楽しいのだ」と思いながらも「でも、逃げてっちゃうなあ・・・ずっと見ていたいなあ」きっと色んな葛藤を巡らせながら、アゲハチョウを見ていたことでしょう。

みんなで話し合って、お空へ飛ばしてあげることに決まりました。

バイバーイと言いかけて、「あ!!チョウチョに名前を付けてあげようよ。」

アゲハチョウだから『アゲちゃん』に決まり、みんなは色々な表情でじっと見守ります。

つばき組で、こんなステキな『チョウチョの成長のあしあと』を作っていたことに、驚きました。大切にこの時を待っていたんだね。。。

「アゲちゃん、げんきでね」「わすれないよ」子ども達一人ひとりが、アゲちゃんにお別れをしました。

「行っちゃったらさみしい。」そんな言葉も出始めてシュン・・・となったつばき組でしたが、「アゲちゃんがみんなの心の中にいつまでもいられるように、心のカメラで写真を撮っておこうよ。」

カメラでぱちり。みんなの心にインプット★ これで、だいじょうぶだよ。

たっくんがアゲちゃんをそっと外へ出すのを、息をのんで見守る子ども達。ぱっと指を離すと、チョウチョは嬉しそうにくるくると飛び回り・・・

なんと、ゆいこちゃんのカラー帽子にとまりました!そして、まるで「みんな、私の羽をみて!」と言わんばかりに、美しい模様の羽をいっぱいに広げてじっとしていました。

ゆいこちゃんはびっくりしながらも、じっとして、みんなにアゲちゃんの姿を見せてくれました。

そして、「あ!飛んだ!!」

ふわっと風に乗って空高く舞い上がったアゲちゃん。

「アゲちゃん、バイバーイ!!」「バイバーイ!」と子ども達の声が園庭に響きます。その声が聞こえたのか・・・これまで育ててくれたみんなのことを「お母さん」と思っていたのか・・・

アゲちゃんは幼稚園の年中組の窓の下にとまりました。そしていつまでもじーっと止まっていたのでした。

お別れだと思っていたみんなは、少し嬉しくなって、「先生、まだあそこに止まってる!」

30分後も、1時間後も、外に出てきては 蝶がそこにいるかどうかを確認して、姿がみえるとホッとしていた子ども達。

「幼稚園のことが大好きなのかな?」「また卵を産んで会えるといいな!」

気が付くと、アゲちゃんの姿が見えなくなっていて、「いなくなったね・・・」「ちゃんと飛べたかな」と少しさみしそうなお顔でいつまでも空を見上げていました。

この様子を見ながら「つばき組のお部屋で、長いこと一緒にいた子ども達とアゲちゃんは、心を通い合わせていたのかもしれないな。。。」と、切ない気持ちになった私達でした。同時に、子ども達の心の中に『命の誕生とその素晴らしさ』を感じる小さな芽がぐっと成長した、そんなひとときだったように思いました。

その帰りのこと・・・

ちあみ先生がサナギの殻を持って教務課に。先生達みんなでサナギの殻を見ながら、気になることが一つありました。

「この殻の下の方に溜まっているのって、ふしぎ発見タイムで園長先生が『サナギの中で 幼虫の身体は一旦液体になる』って言われた、その液体なのかな?」

そこで、先生達の『探究心』がむくむくと湧き上がり、早速 残っている液体を取り出してみました。

茶色い水のような液体が出てきて、「やっぱり液体になってから蝶になるんだ!」と、みんなで確認し合ったのでした😊

「みんなに明日おしえてあげます!」とちあみ先生の目も、きらきらしていましたよ。