わかばのかぜ~園長からのおたより~

花まつり(年長組)

2022.05.11

 花まつりとは、今から2500年前にインドで仏教を開いたお釈迦様の誕生をお祝いする行事です。
幼稚園では、「心の時間」と称して、年長さんと一緒に灌仏(かんぶつ)をして花祭りのお祝いしました。
灌仏とは、花御堂に安置したお釈迦様をかたどった銅像に、甘茶をかけてお祝いすることです。

はじめにののさまに手を合わせ、花まつりの由来を説明し、お釈迦様の教えてくれたこととして、こんなお話をしました。
「自分1人で生きているのではない、みんなのおかげで生きていくことが出来る」
みんなはお父さんお母さんがいたから生まれてくることが出来ました。家族の存在があるから今日まで元気に成長してきました。お友達がいるから幼稚園で楽しく生活することが出来る。自分1人で生きているわけではないよね。多くのおかげで生きていることに、感謝すること、ありがとうの気持ちを持つことが大切です。

すると、目の前の年長さんの男の子がポツリとこう言いました。
「僕の心がママの心なんだよ」
お母さんのことを想っている気持ちが充分すぎるほど伝わってくる、温かい言葉でした。

そしてもう一つ、年長さんにこんなお話をしました。
「人間は誰でも、自分の中に悪い心を持っています。悪い心をしっかりと見つめ、悪い心に負けないようにしよう」
悪い心というのは先生も持っています。みんなも持っています。悪い心というのは、嘘をついたり、悪口を言ったり、やりたくないことから逃げたり…そういう悪い心は人間であれば誰でも持っています。
大切なのは、悪い心に負けない強い心をもつ事です。嘘をついちゃいそうになったり、嫌な事から逃げ出しそうになった時、自分の悪い心と向き合って、悪い心に負けずに正しい行いをすること。お父さんやお母さんに怒られた時、嘘をついちゃいそうになっても、ぐっと我慢して正直にお話出来る心を持つことが大切です。

すると、年長さんは声を揃えて
「私たちに悪い心なんてないよ!嘘つかないもん」
真っすぐな気持ちがとても可愛くて、子どもたちの想いを傷つけないように
「そうだよね。これから大きくなって、もし嘘をついてしまいそうになった時や、やりたくない事から逃げそうになった時は、今日のお話を思い出してね」と、伝えました。
他にも話の中で、色々な想いを言葉にして聞かせてくれました。

「どうしてお釈迦様は偉い人なの?」
「お釈迦様のお父さんは何をしてる人なの?」
「甘茶はお釈迦様へのプレゼント?」
「お釈迦様にケーキはあげないの?」
「大きいおばあちゃんが死んだときに手をあわせたよ」
「このお経聞いたことある!」

私の話を聞くだけでなく、感じた疑問や自身の経験談を、自分の意見として声に出して発することが出来る子どもたちの姿に驚きました。

子どもたちは自分の想いや考えを伝えたいという気持ちを抱いています。
幼い言葉かもしれませんが、想いが率直に込められていて、私たちの心に響きます。

5月31日には、年中さん年少さんも灌仏を経験します。
そして、白い象と一緒に幼稚園の周りをパレードし、花まつりを楽しみたいと思います。

生きていく上で大切な道徳心を子どもたちに分かりやすく伝えることは簡単ではありませんが、「心の時間」を通して、のの様に手を合わせたり、灌仏を経験したりする中で、何か目に見えないものの大切さを感じてもらえたらと思っています。